現在、宿泊業の業態で外国人を雇う場合、特定技能ビザでの雇用か技術人文国際ビザでの雇用が一般的です(アルバイトを除く)。

特定技能の制度は2019年から始まりました。
ですが、端的に言って、特に宿泊分野では数年経った今までのところ、会社側、外国人側の両方にとってあまり人気がない制度です。

  • 配偶者(家族)を日本に連れて来られないこと
  • 5年しか日本にいられないこと
  • 海外で、特定技能宿泊技能試験がほとんど受けられないこと

特に配偶者を日本に連れて来られないことが、致命的に不人気の理由になっています。

また理由は不明ですが、他の特定技能分野、例えば介護・外食などと異なり、特定技能の宿泊は、なぜかほとんど海外での技能試験の実施がありません。
<現状はフィリピンとインドネシアのみ。年に1.2回>

このため、現状では特定技能ビザの宿泊は、「日本国内にいるネパール人で、何らかの理由で専門学校または大学卒業資格を取得できなかった人達だけ」が対象となっている感があります。

したがって、必然的に対象となる人数が少ないのが現状です。

  • 対象者が少ないこと(特定技能宿泊テストにパスした資格者が少ない)
  • 採用後、登録支援機関に毎月の登録支援料を払わなければならないこと

この両方が主な原因となり、不人気です。
さらには、特定技能ビザ人材は日本語はN4でOK、かつ特定技能能力試験をパスすれば誰でも対象となります。

したがい、専門学校卒・大卒が資格の技術人文国際ビザ人材の方が能力的に高い傾向にあるので、どうせ採用するのであれば、技術人文国際ビザ人材をと考える企業様が多いのが実情です。

対して、技術人文国際ビザは、外国人側および会社側の両方から人気です。

  • 配偶者(家族)を日本に連れて来られること
  • ビザ更新すれば、ほぼ永久に日本にいられること

やはり配偶者を日本に連れて来られる、というのは最大のメリットのようです。
自分が働き始めてから、約2か月後には配偶者用ビザの申請が出来、その後約6カ月程度で許可がおりるケースが一般的です。

このため、働き始めてからだいたい1年以内には配偶者を日本に連れて来て、一緒に生活することが可能となり、外国人にとって大きなモチベーションアップにつながっています。

また、一緒に生活することが出来ると、精神的に安定するだけでなく生活面も安定する側面があります。

配偶者は週28時間までのアルバイトを許されています。
そのため、ほとんどの外国人家庭では、「本人の給料+配偶者のアルバイト代」の2本立てで生計を立ているため、生活レベルが向上するためです。

  • 対象者が多いこと
  • 人材紹介業者に対する採用時での支払いのみで、その後の毎月の支払が不要であること。

この両方が人気の原因です。

技術人文国際ビザで働く外国人が配偶者を連れてきて、一緒に生活を始めると、会社や地域に対する定着率も増す傾向にある、という嬉しい副産物もついて回ります。

さらに、配偶者を週28時間のアルバイトとして本人と一緒に雇う宿泊企業様も結構あり、その場合さらなる人材確保につながります。

技術人文国際ビザは、大卒など学歴がある人達が対象となっていることから、日本語能力も一般的に特定技能人材より上であることが多いのも人気の一つです。